
作業前に点検を行う。 それは建設現場では当たり前のことです。しかし、その当たり前を毎日、抜け漏れなく続けることは簡単ではありません。
北海道岩見沢市に本社を構えるこぶし建設株式会社では、「GENBAx点検」の導入により、紙で行っていた点検業務をデジタル化。効率化や省力化を進めながら、安全に作業を始められる状態を日々確認する仕組みづくりを進めています。 注目したいのは、同社の点検消化率の高さです。システムを入れただけでは、この水準は維持できません。現場では何が変わり、どのように点検が習慣として根付いていったのか。技術管理部の曽我部様、施工管理部の廣島様、小松様に伺いました。

こぶし建設の事業内容について教えてください
曽我部様:当社では、道路工事や河川工事、農業土木工事など、地域のインフラを支える公共土木工事を幅広く手がけています。 その中でも、今回お話ししている私たちの現場では、農業土木に関わる工事が多いです。特に多いのは、農地や農業用水路、農道などを整える、ほ場整備工事に関わるものだと思います。
皆様の業務内容について教えてください
曽我部様:私は技術管理部に所属しています。技術管理部は、会社全体の技術に関わる部分を見ている部署です。新しい技術やシステムを検討し、実際に試して、現場で使う際に落とし込むところまでサポートしています。
小松様:私も施工管理部に所属していて、現場代理人を務めています。発注者や会社、協力会社さん、地元の農家さんや住民の方々への対応などを主に行っています。
廣島様:私は施工管理部に所属しています。現場では、小松所長の下で、現場補助として現場全般を見ています。
会社全体として、建設DXやデジタル化にはどのように取り組まれているのでしょうか
曽我部様:基本的には、会社全体として建設DXやIT化を進めていく方針があります。平成30年頃から導入準備を進めていて、今も、効率化や省力化につながるものは、できる限り試していこうという考え方です。
実際には、まず私たち技術管理部で一度導入してみて、それを現場に落とし込んでいく形が多いです。現場から「こういうことをやりたい」「こういうことはできないか」という要望が出てきた場合には、それに近いものを探して提案することもあります。 また、入札の際に技術提案を行うこともあるため、現場で活用できるIT技術がないかを探し、提案に盛り込むこともあります。現場を取る前に提案し、それが受け入れられたら実際に導入していくという流れです。

導入前、点検業務はどのように管理されていたのでしょうか
廣島様:基本的には、各協力会社の担当者の方に点検していただき、それを私たち元請け側で確認する形でした。紙の点検表は、1枚で1週間分のチェックができるような様式になっていることが多く、提出自体は週に一度、週末か翌週の頭に提出してもらう流れでした。 点検項目は、社内で定めた項目に沿ってチェックしていく形です。紙の点検表でも、項目に沿って記入されているかを確認していました。
SORABITO:紙の点検表だと、確認する側の手間もあったのでしょうか。
廣島様:そうですね。紙で管理している場合は、提出された点検表を回収して確認する必要があります。紙の様式に慣れている部分はありますが、提出や回収、確認という手間はどうしても発生します。 また、紙の場合は、実際にその日に点検したかどうかをその場で把握しづらい面がありました。週単位で提出されるため、後からまとめて確認する形になりやすかったと思います。

GENBAx点検を知ったきっかけは何だったのでしょうか
曽我部様:最初のきっかけは展示会です。展示会で知った後、詳しく調べるためにWebで確認しました。同じようなシステムもいくつかあったので、トライアルできるものは試してみようという流れでした。
SORABITO:その時に重視していたポイントはありますか。
曽我部様:一番注目していたのは、点検項目を自由に入れ替えられることです。もともと使っていた紙の点検表に合わせてカスタマイズできるかどうかを重視していました。 点検項目が多いので、紙の帳票をそのままデジタル化しようとすると、登録作業がかなり大変になるだろうと思っていました。ですので、紙で使っていた帳票に近い形で、できるだけ簡単に登録・運用できそうなものを探していました。
トライアルはどのように進めたのでしょうか
曽我部様:どの現場でトライアルするかについては、施工管理部と技術管理部の統括部長、技術管理部の部長とも相談しました。 最初に使う現場としては、年配の代理人さんよりも、若手の代理人さんがいる現場の方が受け入れやすく、操作説明もしやすいだろうと考えました。私からも「この現場がいいのではないか」と提案し、まずは数現場から始めることになりました。
SORABITO:実際に使い始めた時の印象はいかがでしたか。
廣島様:最初は、私自身も「紙の点検表でよいのではないか。変える必要があるのか」という気持ちはありました。 ただ、使い始めて慣れてみると、点検も早く進められますし、管理もしやすいと感じました。パソコンやスマートフォンで、どこの点検がまだ終わっていないかがすぐ分かるので、その都度確認しながら、現場に少しずつ浸透させていくことができました。
現場へ定着させるために、どのように説明やサポートを進めたのでしょうか
曽我部様:毎年4月に、施工管理部の全体会議があります。そこで「今年からGENBAx点検を使い、これまで紙で管理していた点検をWeb上で管理するようになります」と説明しました。
その後、実際に現場で使うことになった際には、私が現場に行って操作方法を説明しました。特別な資料を作ったわけではなく、実際の画面を見てもらいながら、登録作業や点検作業の流れを確認してもらう形です。一度説明した後は、実際に使いながら分からない点を確認してもらい、その都度フォローしながら、少しずつ現場に定着させていきました。

導入後、点検業務はどのように変わりましたか
小松様:紙の時は1週間分の様式だったので、週明けに回収して確認する形でした。そうすると、週の終わりにまとめてチェックすればいいという感覚になってしまうこともありました。 GENBAx点検では、点検状況をクラウド上で確認できます。点検が未実施の場合は画面上で分かるので、日々の点検状況を把握しやすくなりました。点検自体も、スマートフォンでQRを読み込んで、その場で実施できます。現場としても、安全に管理できているという感覚があります。
SORABITO:点検状況が見えることによる安心感もありますか。
小松様:ありますね。きっちり現場を見ていただいている、管理されているという実感があります。
廣島様:点検業務管理という観点でも、点検状況が画面で見えるようになったことは大きいです。紙の点検表では、どうしても提出後の確認になりやすかったのですが、今はその日の点検状況を確認できます。どこの点検が終わっていて、どこが未実施なのかが分かるので、確認する側としても管理しやすくなりました。

高い点検消化率を支えているのは、どのような運用なのでしょうか
SORABITO:こぶし建設様では、点検の消化率が非常に高いと伺っています。高い水準を維持できている理由は何だと思いますか。
曽我部様:細かく見て、その場で言うことを徹底しているからだと思います。
廣島様:最初は、「言われないようにやらなきゃ」という意識もあったと思います。点検していなければ声をかけますし、それがきっかけで点検を忘れないようになる面もあります。 ただ、続けていくうちに、単に指摘されないためではなく、自分たちが安全に作業するために確認し、その証跡を残すという意識に少しずつ変わってきていると感じます。作業前に重機や設備の状態を確認し、安全に作業を始められる状態を記録する。その基本動作が、現場に根付いてきているのだと思います。
小松様:現場としても、点検がきちんとできていることを確認できるのは大きいです。点検状況が見えることで、現場全体として安全に対する意識も高まっていると思います。 高い点検消化率は、点検表が埋まっているというだけの話ではありません。作業前に重機や設備の状態を確認し、安全に作業を始められる状態をつくる。その基本動作が、現場に根付いていることの表れだと思います。
点検状況が見えることで、現場の安全管理にも変化があったのでしょうか
曽我部様:紙で点検していた時は、どうしても「やっているであろう」という確認になりやすい面がありました。今は画面上で状況が分かるので、未実施のものがあれば確認できます。 点検していなければ声をかける。それは手間が増えたというより、安全管理として必要な確認ができるようになったということだと思います。
廣島様:朝礼が終わって現場に入り、重機が動き始めている。その時にスマートフォンで確認して、まだ点検されていないものがあれば、すぐに声をかけます。 作業前点検なので、本来は重機が動く前に行うものです。見えるようになったことで、「あれ、点検されていないな」と気づけるようになりました。気づいたらその場で言う。そういう流れができています。
SORABITO:デジタル化によって、現場の安全管理の質も高まっているということですね。
曽我部様:そうですね。点検状況が見えることで、確認する側の意識も変わりますし、点検する側も「見られている」という意識が出てくると思います。 デジタル化によって、コスト削減、効率化、省力化を進めながら、安全管理の質も落とさない。むしろ、点検状況が見えるようになることで、現場での確認や声かけがしやすくなり、安全に対する意識を高めるきっかけにもなっていると思います。

発注者や協力会社の方からの反応はありましたか
小松様:発注者の方からは、点検をデジタルで行っていることに驚かれることがあります。導入している会社がまだ珍しい部分もあるのか、良いアピールになっていると感じています。
曽我部様:最近はデジタル化に取り組んでいる現場も増えてきたので、「ここもやっているんだね」という反応が増えてきたと思います。導入し始めた頃は、「何これ、紙じゃないんだ」という反応の方が多かったですね。

今後、GENBAx点検をどのように活用していきたいですか。
曽我部様:現在は、できるだけ全現場で使っていきたいと考えています。ゆくゆくは、すべての点検をGENBAx点検で行えるようにしていきたいです。 また、社内には安全部があり、安全パトロールも行っています。今後は、安全パトロールでもGENBAx点検を活用できればと考えています。 さらに、機械の持ち込み許可証についても活用しています。これまではExcelで現場ごとに作成して貼っていましたが、GENBAx点検から出力した持ち込み許可証を使うことで、QRコードも含めて一括で管理しやすくなると思っています。
これから点検業務のデジタル化を検討している企業に向けて、アドバイスはありますか
曽我部様:最初から全部をやろうとしないことだと思います。 私たち技術管理部の立場からすると、最初に大変なのは帳票の登録作業です。最初からすべての点検表を登録しようとすると負担が大きくなります。 ですので、まずは毎日使うような基本的な帳票だけを登録し、使い方に慣れてから少しずつ種類を増やしていくのが入りやすいと思います。
当社でも、最初に導入した時は帳票を厳選しました。そこから現場の要望に応じて、「これを登録してほしい」「あれを登録してほしい」と、少しずつ増やしていきました。1つ、2つと徐々に増えていく分には、大きな負担にはなりません。
編集後記:効率化しながら、安全管理の質も高めていく
今回のインタビューで印象的だったのは、こぶし建設様の点検消化率の高さです。
GENBAx点検を導入すれば、自動的に点検が実施されるわけではありません。点検状況が見えるようになったうえで、未実施のものがあれば声をかける。こうした日々の運用があるからこそ、作業前に重機や設備の状態を確認し、安全に作業を始められる状態が保たれています。
点検業務のデジタル化は、紙をなくすことだけが目的ではありません。効率化や省力化を進めながら、安全に作業を始められる状態を、日々の現場で支えていく。こぶし建設様の取り組みは、その好例だと感じました。

導入企業紹介
社名:こぶし建設株式会社 代表取締役:長谷田 貴裕 本社所在地:北海道岩見沢市志文町966番地15(Nextビル) 設立:1948年10月 URL:https://kobushi-construction.co.jp/
「GENBAx点検」とは
「GENBAx点検」は、建設会社の現場に特化した安全点検デジタル管理ツールです。QRを現場に設置するだけで、協力会社の作業員もスマートフォンから簡単に点検を実施・記録できます。始業前点検や安全パトロールはもちろん、月例点検や悪天候後の特別点検など、現場の実態に合わせた柔軟な運用が可能です。LINEワークスやDirectとのチャット連携、通知機能、オフライン点検モードも備え、島根・中国地方をはじめとした全国の建設会社でDX推進とペーパーレス化を強力にサポートしています。